2016年3月　No.368 口を切って救急車がやってきた！！

先日、診療が終わり、スタッフが帰って間もなくのことです。高石救急隊から診療所へ緊急の電話が架かってきました。

子どもが口の中を切って救急車を呼んだようです。

以前に当院に罹ったことのある子どもだということです。受け付けてもらえますかということなので、どうぞということで、改めて玄関のシャッターを上げ診療体制を整えて間もなく、例の救急車のサイレンが遠くに聞こえたかと思うと直ぐに慌ただしく救急隊員が子どもを抱えて飛び込んできました。

事情を聴いてみると子どもが転倒して舌をかみ切って出血していると救急車を要請したようです。保護者は「舌を噛んで死ぬ」とよく言われることから、我が子が死んでしまうのではないかと必死だったようです。救急隊は噛み切った舌を丁寧に保存しておくように指示し駆け付けたのですが、血だらけの中に真っ赤なトマトが包まれていたのです。怪我をしたときに口の中にミニトマトが入っていたのです。舌を嚙み千切った疑いは直ぐに晴れたのですが、出血は止まりません。当院に来られた時には出血も少し落ち着いてきていましたが、ガーゼで拭って、歯が抜けたりめり込んだりしていないかを確かめたのですが歯にはそれ程の動揺などは見られませんでした。出血は下顎前歯部の歯肉部分が切れて唇を動かすと骨から浮き上がってかなり出てきます。しばらく圧迫して歯肉が落ち着けばいいのですが、泣いて口を動かせれば傷口が開き出血するのです。少しぐらい口を動かせたり泣いても出血を防ぐためにも縫合してあげるのがいいと考えそうすることにしました。

泣き叫ぶ中局所麻酔下で3か所歯肉を縫合して一件落着、麻酔で痛みもなく出血もかなり収まり、本人も親御さんも落ち着きを取り戻しました。

今回のケースは親御さんが、我が子が死ぬのではないかと心配した割にはそれ程の重傷ではなかったのでよかったのですが、子どものの事故はいつ何時起るか分かりません。もしも事故に遭遇した時はできるだけ冷静に何をどうすることがその子にとって一番重要なのかを判断し

行動してください。