2016年7月 No.372 今年の歯科健診を終えて
毎年5月から6月終わり頃にかけて園医をしている保育園、幼稚園の歯科健診に出かけます。
皆さんのお宅の子どもたちも園所から健診結果を貰ってこられたと思います。
昔はむし歯をたくさん指摘され治療してくるようにと言われた子供が多かったのですが、最近ではむし歯はめっきり減りました。それに代わって歯肉炎や歯石を指摘される子が増えています。もちろん、歯並びに問題のある子も結構います。
むし歯が減ったのはそれはいい事なのですが、確かに以前に比べれば口腔清掃に関心の高い家庭は増えているので、それが大きな要因だと思いますが、歯はそれなりに汚れているし、歯肉の清掃(刺激)が十分でないので歯肉炎がみられる子が多いという状況を見るとまだまだ歯口清掃が十分行き届いていないのが見て取れます。
少し以前から歯科医の仲間からこの頃の子どものむし歯が減ったのは口腔清掃が行き届いたというよりもどうも虫歯菌(ミュータンス菌)のむし歯を作る力が落ちた(菌交代現象した)のではないかと首をかしげる人が出てきているのですが、未だ証明したという報告はないのです。
もう一つ考えられるのが、今のほとんどの砂糖は昔の甘藷、甜菜を絞って作った蔗糖ではなく、トウモロコシのデンプンを酵素で糖化させ、その中のブドウ糖を別の酵素で果糖に異性化させて作った物(異性化糖)だそうです。昔の砂糖と今の砂糖でむし歯の発生に違いがあるのか?未だ証明されていません。
どうも昔の砂糖と今の砂糖ではむし歯の発生に違いがあるのではと思はれても不思議ではないのです。
昔はむし歯がどれだけあるのか、あるいはむし歯なしでいるのかを見ればその子どもの食を中心とした生活環境がうまくいっているのかどうか手に取るように見て取れたものですが、最近では本当に分かりにくくなっているのです。 ー院長-