2018年3月 No.392 Made in Japan世界初歯周組織再生医薬品の誕生
先日歯周病についての講演会に行ってきました。
大橋小児歯科は子ども専門の歯科医院ですから成人から高齢者の疾病とされている歯周病の知識は必要ないのではと思われる人もいるかと思いますが、そうはいきません、
最新の歯周治療はどうなっているのかある程度知っていなくては、これから成長するお子様の先を予想だにできません。
さて、歯周病とは、歯周病菌が歯と歯肉の境目に入り、炎症を起こす病気です。痛みはほとんどの場合なく、悪化すると歯周ポケットが深くなり、歯を支える歯槽骨が溶けて、歯がグラつくようになり歯が抜けてしまうこともあります。現在では歯を喪失する最大の原因となっています。
最近は、歯周病菌が血管に入ることで炎症を引き起こし、その結果、脳卒中・心筋梗塞のリスクを高めることも分かっています。歯だけではなく身体全体に悪影響を及ぼす怖い病気ということです。
最近の食事の軟食化によって歯の周りの歯肉に対する刺激が少なく炎症を持つ子供が多くなっていますがその傾向がずーっと続き慢性化し歯肉から歯根膜、歯槽骨へと炎症が進み歯周病へと進行します。
従来は歯の周りの骨が侵され消失した場合、再生は不可能とされ、歯周治療はそれ以上の進行を止めるに留まっていたのです。
今回の講演会は歯根と歯槽骨の間にある歯根膜(歯周靭帯)に存在することが明らかになっている歯周組織幹細胞を活性化して失われた歯周組織を再生させる歯周組織再生剤についてお話しいただきました。
made in Japan で世界で初めて開発した大阪大学歯学部の村上伸也教授に開発に要した25年間の苦労話を交えながら研究成果についてと薬の使い方についてお聞きしました。薬剤名「リグロスは」保健適応されており研修を受けた歯科医師の下で使えるのです。歯周組織再生療法の未来が明るくなって来たようです。