2018年10月 No.399 自閉症の僕の心をはぐくんだもの
演者は東田直樹氏千葉県生まれ26歳の作家です。会話のできない重度の自閉症でパソコン、文字盤ポインテイングにより、援助なしでのコミュニケーションが可能です。小学校5年生までは授業中も母親に付き添われて、普通学級に在籍、小学6年生から中学3年までは、特別支援学校で学び、2011年高等学校(通信制)を卒業した方です。童話、詩、絵本を21冊出版しています。
私の診療所にも程度の差はありますが自閉症児が何人も来院されていてどのように接すればいいのか苦心するところで、ご本人の言葉は貴重です。
講演は先の台風24号襲来で中止になりましたが、講演の全体像は主催者の計らいであらかじめスライドを印刷してくれていたのでよく分かります
・みなさんは僕を見てどう思いますか。 僕の事を「自閉症者」とか「障碍者」と呼ぶ人もいるでしょう。ある意味、間違いではありません。けれど、それは僕のすべてを意味する言葉ではないと思うのです。
・小さかった頃 僕は生まれた時から、みんなと違っていました。でも、困っていたり騒いでいたりしたのは、周りの大人だけで、僕自身は何とも思っていませんでした。
・くるくる回るものやきらきら光るものは,僕の心をうきうきさせてくれました。僕の毎日は、輝きに満ちていたと思いました。
・集団生活を経験する幼稚園の頃から、僕の苦労は始まりました。僕は、みんなと同じことが、全くできませんでした。先生や友達の注意も聞かず、動物みたいに、ただ動き回っていました。
・僕は人の指示に従うことができなかったのです。
・僕の体の中では。見ることと聞くこと、そして、動く事がばらばらだったような気がします
・脳と心は、別の物ではないかと感じることがあります。
・重度の知的障害があると診断されても僕は何も分かっていないわけではありませんでした。
・自分のことをだれにもわかってもらえないと絶望していた頃、僕は一人ぼっちで暗い海を漂っているみたいな気分でした。
このように説明されたのを受けてつぎのように結んでおられます。
・接し方や支援を画一化することは難しい。
・当事者にあなたは大事な人だという事を分かってもらう事。
・考える力をつける教育と幸せの形は一つではないという価値観。 ・未来とはずっと遠いところの世界ではなく、毎日を積み重ねた地点にある。