2019年2月 No.403 小児期から始まる歯周病予防
先日、小児歯科の開業医会のミーテイングで名古屋へ出かけました。
演題は「小児期から始まる歯周病予防」ー悪い菌叢を作らないためにーというものでした。元来、歯周病は成人の病気で子どもにはあまり馴染みのないものとして扱ってきたのでしたが、歯周病の研究が進むにつれ、この疾患は成人になってから急に罹るものではなく「歯周病の芽は子供の頃に」作られるということが分かってきたのです。
① 歯肉の辺縁より上の歯面にくっついた菌が歯肉縁上プラーク(菌の塊)と言って糖質を摂取して酸を出してむし歯を起こすのに対して
② 歯肉縁下プラークと言って歯肉の辺縁から下の歯との間の菌は嫌気性菌(酸素を嫌い奥まったところを好む)で歯肉からの出血から鉄分やアミノ酸を摂取して炎症を起こし、歯周病を起こすのです。
この歯肉縁下プラークが子供の頃から徐々に形成され健常者で18歳以降にその土台の上に最強の歯周病菌(Pg菌)が感染しそれぞれの人の歯肉縁下プラークの質が10歳代に決まるのです。このプラークの質(構成割合)は歯磨きを一生懸命しても、マウスウオッシュで洗浄してもその量は減っても一生変わることはないということです。すなわち、歯周病の芽は子どもの頃に歯周病原性プラークの形成によって作られるのです。
では、その歯周病菌はどこからやって来るのかということになりますが、それは唾液を介した経口感染ということです。① 親しいお友達から ② 直バシなどで食べ物から ③ ペットから などです。 最近の子どもたちの食べ物が軟食化し歯肉に対する刺激が少なくそれらが原因となって歯肉炎が起きやすくなっています。歯肉炎になると出血しやすくなり歯周病菌の大好物のヘモグロビン・へミン鉄が供給されるのです。