2019年8月 No.409 人生100年時代のオーラルヘルス -8020運動の実績を基盤にして-
今から30年前80歳になっても20本の自分の歯を維持できれば大体何でも自分の歯で食べることができ、概ね健康に一生が送れるのですとの掛け声の下歯科界がやってきました。当初80歳で20本以上自分の歯が残っていた方は1割未満でしたが2017年には5割を超えるまでになっています。 東日本大震災で義歯をなくした方に対してどのような場面で困ったかをヒアリングしたところ、「食事をするのが困難」と訴えた方は意外
に少なく「歯や口のことが原因で、家族、友人、近所の人など他人といることを楽しめなかった。」という声が多数だったということです。また、要介護状態の入り口の「閉じこもり」も歯・義歯の喪失によって他人との会話や食事が楽しめなくなることが発端であるということが分かったのです。
口腔の健康は、咀嚼や栄養摂取といった機能だけでなく、積極的なコミュニケーション等のための社会的機能も保つことで、要介護を予防することができるというのです。
右上図のように虫歯や歯周病などにより歯を喪失することと老化などによる口腔の健康・機能状態の悪化により ①身体的影響 ②社会的影響が相まって全身の健康への影響により(この状態をフレイル(虚弱)と呼ばれ、それが進めば要介護(身体機能障害)状態へと移行するのです。 (Dent.File vol45 相田 潤先生総論参照)