2019年9月 No.410 泣く子の全身麻酔下治療をどう考えますか?
先日5歳の男の子が新患として来院しました。大きな痛そうなむし歯があり治療途中です。自発痛などは一応収まっているようでした。
話をお聞きしますと市内の一般歯科にかかったのですがどうしても泣き止まず診療できないので何処か全身麻酔ででもできるところで治してもらって下さいと全身麻酔のできる障害児専門の医療機関の紹介状を貰っていました。
親御様は全身麻酔下での治療にどうしても抵抗があるということで当院を探して来られたようでした。
このようなケースはその昔、30年以上前には日常茶飯事毎日何人かはいたものですが、最近は子どものむし歯が減った上に軽傷化によって滅多に見られなくなりました。それでも小児歯科専門医ということでちょくちょく紹介されて来られます。
その昔は局所麻酔を打って痛みを抑えておいての強制治療や手足が動いて危険な子どもには身体抑制治療などが適応されましたが、最近では珍しくなっています。
根気よく心理的誘導を試みるのですが時間がかかる上にそう簡単ではありません。
アメリカなどの小児歯科先進国などでは子どもを泣かせての治療は児童虐待だと訴えられるのという事で簡単に全身麻酔下で治療するようです。 かなり以前のことですが、ボストンの小児歯科医院でそのような体制で診療をしているのをこの目で確かめてきました。本当に小さなむし歯でも全身麻酔をかけていました。最近でも同じようにやっているものと思われますが確かめてはいません。