2021年7月 No.432 子どもの頃は嫌だった注射 なぜ大人になると平気になるの?
6月18日NHK「チコちゃんに叱られる!」で出題された問題です。
そういえば殆んどの子どもは極端に注射を嫌がります。
- ①大人は注射よりも痛い事を沢山経験するからそれほど怖くはなくなってしまったのでは?とか、
- ②体や腕の大きさが変わるので針の感じ方が変わるから?
という答えが出ましたがどちらも残念‼
ぼーっと生きてんじゃないよ!とチコちゃんに叱られていました。
答えは 「痛みが10分の1になるから」でした。
桜美林大学の山口創教授によると大人と子どもでは痛みの感じ方が全く違い、同じ痛みでも子どもの方が10倍も敏感なんだとか。
そもそも皮膚の表面には痛みを感じる痛点が1㎠あたり100以上あり、痛点が刺激されるとその信号が脊髄を通って脳に伝わり、痛いと感じるというのが基本的なメカニズム。
そしてこれが子どもの場合は、脊髄の入り口にある神経がまだ十分に発達していないという違いがあるとの事。
大人の場合は脊髄の入り口にある神経が分かれて存在しているので、痛みも分けて伝える事が出来るのに対して、子ども場合は神経が密接しているので少しの刺激でも多くの刺激として伝えてしまうという違い。
成長による痛みの感じ方の変化を調べた研究では、男女ともに7歳~9歳にかけて痛みの感じ方がおよそ10分の1になっているのが分かります。これぐらいの時期に脊髄の入り口の神経が分類・整理されてくるということでした。
また子どもが痛がるのには心理的な影響も関係していて、不安や恐怖の感情によって痛みがさらに大きくなるという現象も起こります。
注射などの痛みが恐怖や不安の記憶として刻まれると、痛みを感じるセンサーや脳、脊髄の働きが変化して本来であれば弱い刺激にも関わらず、敏感に反応して痛いと感じてしまうという事もあります。 子どもの注射の痛みは大人の10倍ということを肝に銘じて改めて鎮痛処置を心掛ける必要があると思いました。