No.004 歯は磨いても悪くなる??
「歯は磨いても悪くなる!」こんなショツキングな記事が新聞に出たのです。
毎日毎日診療室でお母さん方に「お子さんの歯を磨いてあげて下さい」と言い続けて来た小児歯科医には突然の話で一瞬びっくりさせられたものです。それは1973年イギリスで児童1万3千人を対象に歯磨き効果の調査をした結果です。
1日3回歯を磨く児童のムシ歯発生率が72%で、1日1回しか磨かない児童は71%と回数を多く磨いた方が高かったというのです。”やっぱり、ムシ歯はその子のもって生まれた歯の質によって決るのだワ”などと日頃おぼろげに思っていた事に確信が持てたと言わんばかりの方が多勢おられるのではないでしょうか。”うちの子はいくら磨いてもムシ歯になります”という事実らしきものを突きつけられると何とも答えようがありません。
しかし、こういう報告があります。歯磨き習慣のある子供と、ない子供の間にムシ歯の差がない理由は、ムシ歯になったので最近になって歯磨きをするようになった子が歯磨き習慣のある子の中に混ざるため、歯磨きの効果が表面に出て来ないのだそうです。実際、私が園医をしている幼稚園で、3年間連続して毎日、寝る前に歯磨きをしていた子供のムシ歯の平均が1.7本であったのに対し、今年は寝る前に歯磨きをしていると答えたもののその前の2年間はそうでなかった子のムシ歯は平均6.5本で、全体の平均4.1本よりも多かったのです。その中身を調べて見ると10本以上のムシ歯の子が何人、歯を磨いています、の中に混じって来ているのです。ムシ歯が痛んでけなげにも歯磨きを始めたのでしょう。どうして、もっと早く始めなかったのでしょうか。歯磨きは小さい時からその習慣をつけ、それを長期間にわたって持続することがムシ歯予防へとつながって行くのだと思います。
もう一つ蛇足ですが、磨いているつもりと磨けているのとは違いますョ! お母さん、根気よくがんばって下さい。