No.006　むし歯は遺伝する？？－パートⅡ－

明けまして おめでとうございます。昭和６１年が、皆様にとってすばらしい年でありますよう願ってやみません。
大橋小児歯科院内誌”くりあー”も無事６０年をクリアーし、新しい年に向けて出発です。
”むし歯は遺伝する？？”この難問を新しい年の宿題としましたが、皆様はどのようにお考えでしょうか。私はこの事について考えるとき、いつも思い浮かぶことがあります。今からおよそ１３年前、小児歯科医としてかけだしの頃、大学病院で初めて母親教室を担当した時のことです。むし歯予防の事などを約１時間かけてお話したのですが、やっと話も終わってほっとした所で、質問は何か？と言った時、保母をしているというお母さんが、保育所でいろいろ検討した結果、むし歯はその子が持って生まれた歯の質によるという結論に達しました。いくら歯を磨いてもむし歯になる子はなります。また、磨かないのにむし歯のない子もいる。と言うのです。
せっかく１時間もかけて説明してきた事も一瞬のうちに打ち消されんばかりです。その場はなんと言って取り繕ったのかは忘れてしまいましたが、苦い思いでの一つです。
しかし、現在ではこのような発言には自信を持って反論できるようになっています。
むし歯をそれ程たくさん作らずにがんばってくれている家庭が増えている事実がそれをバックアップしてくれているからなおさらです。
乳児院では一般の家庭の子供に比べて非常にむし歯が少ない事実などもその一つです。 ふつうの歯の持ち主は、手入れをしなければむし歯になるのは現在のふつうの食生活をしている人には当然の事であります。ダラダラ甘い物を食べ、夜、歯も磨かずにそのまま寝て、それでもむし歯ができないとすれば、それはすばらしい事だとお思いでしょうか。