No.010 ムシ歯予防は小学生時代まで
新しい学年が始まり、はや1カ月、ピカピカの1年生もだいぶ学校に慣れて来た頃でしょう。5月といえば木々の若葉が青々と成長する時期で、本当にすがすがしい季節です。また、新1年生といえば永久歯の新芽が生え始める時期でもあります。 お母さん方は、赤ちゃんの無邪気な笑顔に光るまっ白なかわいい乳歯が見えた時の感動、そしてその歯を大切に、大切に育てようと思った時の事を覚えているでしょうネ!今、永久歯が生え始め、改めて決意を新たにされている事と思います。新しい永久歯との生え代りは小学校の終る12歳頃迄続きます。そういう意味では、小学生時代は歯が抜けたり生えたりで口の中は非常に複雑な、そして重要な時期です。小学生になれば、もう歯磨きも自分で全部できるようにならなければとお思いでしょう。しかし、小学生といえばまだまだ幼い時期です。
生活の習慣についても親が気をつけて指導してあげる必要があります。
ところで、ムシ歯は、歯が歯茎を突き破って口の中に露出した時から2年ぐらいの間が最も罹り易いのです。歯そのものの成熟にそれくらいの期間が必要なのです。そのような幼若な永久歯が育っている時期はまさに、小学生の時代ということになります。くりあー4月号で乳歯の健康状態は永久歯に影響があるとお話しました。今月は永久歯の健康状態は、小学生時代の口の中の状態によって左右される事を強調しておきます。そして、永久歯列が完成する12歳頃の口の状態は、それからの一生の口の中の状態にどれだけ影響するかを考えてみたいのです。
ムシ歯はなり易い時期があって、その時期をうまくクリアー出来ればそれ程なり易い病気でもないのです。その証拠があります。第2次世界大戦の頃、甘い物もほとんど食べる事が出来ず、非常にムシ歯の発生が少なかった時期に小学生時代を過ごし、永久歯列が完成した人達の口の中は現在どうなっているかといいますと、それから40年たった現在まで他の時代の人に比べてずうっとムシ歯が少ない事が証明されているのです。これは興味深い事実です。ムシ歯予防、ムシ歯予防と一生言うのではなく、その予防効果のある子供の時期にこそ重点的に力を入れる事によって、ムシ歯の少ない快適な健康習慣が身につくとは考えられないで
しょうか。