No.016 サルにエサを与えないで下さい!-パートⅡ-
先月号で動物園ではむやみやたらに動物にエサを与えられては迷惑だと書きました。そして人間の子供についてはどうかという事になるのですが、さて、お宅ではどうでしょうか。お互いに、自分の家ではあまり甘い物は与えないようにしようなどとお考えのお宅も多いのですが、さて、お友達が来ればその原則はどこへやらです。診療室でお話を聞けば、よそ様でいただくので、あるいは、おじいちゃん、おばあちゃんが与えるのでとおっしゃって、どうもご自分の事は棚に上げておられるお母さんが多いようです。
数年前、1歳から6歳までの保育園児と幼稚園児630名についてアンケートをとった事があります。それによりますと、近所のおうちでお菓子をよくいただきますか?という質問に対して各年齢とも約40%のおうちでよく貰って来るという回答でした。また、おじいさん、おばあさんがお子さんによくお菓子を与えていますか?という問では平均して30%のお宅で与えている。と答えています。二世代同居が少なくなった現在ですが、けっこう多くのお宅でお菓子をいただいているようです。私達の小さい頃と違って今の子供達は、そんなに飢えてはいないのです。むしろ食べ過ぎなのです。ですから、そんなにおもてなししなくてよいのではないでしょうか。
東京武蔵野市の小学校教諭、遠藤豊吉氏は”がんばれ若いお母さん”という記事で「水か、せいぜい麦茶を出してやる程度にしたらどうだろうか」と言っておられます。そして「とくに夕方近くなったら、何も食べさせないほうがよい。さ
んざん動きまわったあとだから、子どもたちはきっとおなかがすいている。そのままでいいのだ。空腹感にせめられて、かれらはきっとメシを食わしてくれる場所としての家を思い出す。メシをつくってくれる人としての母親を思い出す。いま、わたしたちおとなは、そんな感覚を子どもたちのなかに回復させてやらなければならないのではないだろうか」と続けておられます。
おじいちゃん、おばあちゃんについてはサルにエサを与えて、喜んで食べるのを見て楽しむようにコッソリお菓子を与えなければならないようにするのではなく、予定しているオヤツを与えていただくようにすればよいのではないでしょうか。