No.020 子供の飲物 -パートⅡ-
小学生の男の子が定期検診で来院しました。当院に来られるようになって、もう何年にもなります。このところ新しいムシ歯はできなくなり、定期検診はもっぱら永久歯が生えてきたらシーラントをするか、歯並びのチェックといったところです。しかし歯の溝や裏側の歯肉との境目あたりがこげ茶色になっているのです、タバコを吸う人の歯がニコチンで黒くなっているのとよく似ています。さっそくお母さんを呼んで何か心当りはないかお聞きしたのですがどうも分りません。「お母さんに隠れてタバコを吸っているのと違う…」なんて冗談をいって、金属の器具できれいに取り除いて帰ってもらいました。後、それほどひどくはないにしても、ポッ、ポッと同じような子供が来院しました。そして、何カ月か後に、その子のおねえちゃんが定期検診に来ました。 やはりこげ茶色の沈着があるのです。また、お母さんを呼んでお聞きしましたが分りません。お母さんの口の中も見せてもらいましたがそれらしき様子はありません。でも、姉弟で同じ状態が起きるという事は、食べ物か何かが原因している筈だと考えじっくりとお話を聞いてみたのです。突っ込んで聞いてみるとやはり分って来るものです。原因はウーロン茶らしいのです。その後、同じような沈着のある子供のお母さんにいちいち聞いてみる事にしました。すると、ほうじ茶、ウーロン茶、はと麦茶などで茶褐色の沈着が見られる事が分りました。毎日かなり丁寧にブラッシングしている人にはそれ程沈着は見られませんが、時々手をぬく場合は、やはり、きゅうすが茶褐色に汚れてくるのと同じように沈着するようです。
小さいお子さんの場合、歯磨き剤をつけずに歯を磨くように指導していますが、次第に歯の表面に茶渋がついたようにうす汚れてきます。たまに、ペーストをつけて丁寧に磨いてやると見違えるように奇麗になります。これらの汚れは、直接ムシ歯とは関係ないようですが、お砂糖入りの飲物を飲んで、後始末を十分にしなければその結果はどうなっていくか重ね合せて想像して見てください。