No.029 犬や猫にも歯肉炎!!
先日、5歳の女の子が来院しました。たくさんの虫歯があるのですが、お母さ んの訴えは、虫歯の事はさておいて、この子は、歯を磨いてやればいつも歯肉か ら血が出るので歯槽膿漏ではないのですか、と心配しているのです。確かにその 子の歯肉は炎症を起こして、赤く腫れています。歯と歯の間の歯肉が肥大して浮 いた様です。指で歯肉を押して見れば、ジワッと出血もあります。お母さんが心 配されるのもごもっともです。日頃、テレビなどでリンゴをかじって歯肉から血 が出れば歯槽膿漏、などと聞かされているのですから!!しかし、5歳の子供で 歯槽膿漏はありません。これは歯肉炎といって歯の周りの歯肉の炎症なのです。 この子の場合は、口の中の清掃状態が悪いために起こった不潔性歯肉炎なのです。 歯垢が長い間歯肉に接触していると、歯垢の細菌によって歯肉炎が引き起こされ ます。これは、その原因となっている歯垢を丁寧に取り除いてやれば次第におさ まって来ます。しかし、時には、歯肉の発赤、腫脹だけでなく、歯肉全体が重篤 な炎症に進む場合があります。歯肉からウミや出血があり38度以上の発熱があ り、一晩中痛みのために泣いて、眠れないこともあります。こうなれば、もう歯 磨きだけではなかなかおさまりません。原因になっている細菌を抑える抗生物質 や炎症を抑える抗炎症剤、痛みや熱を抑える鎮痛解熱剤などの薬のお世話になら なければなりません。原因の細菌にドンピシャ薬が効けばいいのですが、最近で は抗生物質を日頃から安易に飲んでいるのか、なかなか効かなくなっている場合 があり、効く薬を見つけるまで数日間痛い目にあう事もあります。小さなお子さ んの場合は、薬を飲ませる事自体がまた大仕事です。こんな事にならないために も、日頃から虫歯予防のためはもちろんの事、その周りの歯肉の健康のためにも 歯磨きが大切です。そして、歯肉の健康にとって歯磨き以上に大切なのは、あま り軟らかい物ばかり食べさせないで、かみごたえのある食べ物を与えて、食べ物 による歯肉のマッサージ効果を考えてあげる事です。
最近のドッグフードやキャットフードの粒子が細かすぎるためか、犬、猫にも 歯肉の炎症が起きているということです。毎日、毎日の食べ物の種類、その性状 など本当は自然のものを食べるのが最も理想のようですネ!!しかし、現実はそ うはいっておれません。お母さん方の苦労はまだまだ続きそうですネ!!