3歳の女の子の治療をしてほしい、との電話が入りました。歯が痛いとのこと です。それでは、少し混んでいるので待っていただかなければならないかも知れ ませんが、急患として受け付けますからすぐに来てください、と返事しました。 この患者さんが30分程して診療室へ来られました。初めての患者さんです。外 傷で歯を折ったり、出血がひどかったり、痛みがひどいということも無さそうな ので、初診時の書類に記入していただきお呼びするまで待合室で待っていただく 事になりました。その日は泣き虫の低年齢児が重なり診察室は大わらわです。泣 き叫ぶ子は、皆様もご想像がつくと思いますが、それはそれは大変です。普通の 場合は私と歯科衛生士がペアーで治療に当たります。他の衛生士は歯磨き指導、 定期検診、器具の滅菌、整理などの仕事を分担しています。しかし、泣き叫び暴 れる子の場合は足を固定する人が必要です。場合によっては手とか頭を固定する 人が必要です。4人もの人手がいる場合もあります。そしておとなしい子の何倍 もの時間がかります。その日も、一人の子が泣き出すと連鎖反応で他の子も泣き 出してしまって大賑わいです。こちらとしては、急患も来ている事だし、少しは 早く終わらせたいなと思っているものですから、ゆっくりなだめすかして、泣き やませて、といった手順では行かないので悪循環です。それでも、普通は急患で 来られた方は、少々時間がかかっても、辛抱強く待ってくれるのですが、この日 の急患さんはまだですか、まだですか、と再々受け付けに早くしろと催促です。 気の毒にも1時間は待ってもらったでしょうか、悪戦苦闘の末その子の順番がや って来ました。急患だからさぞかし痛かったであろうと思っていたのですが、お 口の中を見れば虫歯はあるのですが、今痛むような歯は見当たりませんし、とく に口内炎のような軟組織の疾患もなさそうです。お母さんはとにかく痛がってい たといわれます。子供に聞いても何にも痛くないョ!というものですから、次回 からの診療の約束をしてその日は特になにもせずに終わりました。特にあとから 痛いといったこともありませんでした。
このようなケースでは、やはり、きちんと初診の予約をとって時間を十分かけ て診察してもらった方がお互いのために良いと思うのです。この方のようなやり 方で受診するのが得策だと考えている人が少なからずおられます。はたしてそう でしょうか。次回へ続く。
[休診日] 木曜日・日曜日・祝日