No.038 噛む習慣をつけるために!!
正常児で噛めない事の奥には現代文明の影が潜んでいるようです。と以前に書 いた事がありますが、噛む事についての問題は相変わらず続いています。 いわ ゆる正常児で噛めないとはいったいどういう事なのでしょうか・・・。要は、噛 まなくても済んで来たと言うことではないでしょうか。子供はそれまで噛まなく ても全ての栄養、エネルギーを賄う事が出来たのです。どんなに子供がかわいい と大切に育てる親であっても、自分の子供が噛めなくても、大きく、丈夫に育っ てくれさえすればよいとは思わないでしょう。 ここで、もう一度上の文をよー く読んでほしいのですが、どうも、噛めない、と噛まないが瞹昧に使われている 事に気付かれると思います。すなわち、噛めないのは食物の摂取機能の事である のに対して、噛まないのは生活、行動上の事柄であるのです。
実際、咀嚼機能に直接関係するであろう、食べ物が硬いと嫌がるという訴えは、 増齢とともに減少し、2歳後半では2.8%と少なくなり、特殊な例を除いてほとん ど問題がなくなります。しかし、摂食上の問題を訴える子供の割合は10数%も いるという報告があります。また、親から見て少々不満と思っている人は1/3もい ると報告している研究者もいます。これらのことを考え合わせると、問題の幼児 の多くは日常生活において「噛めない」「飲み込めない」のではなくて、「噛ま ない」「飲み込まない」のではないのでしょうか。
このように考えてくると、「噛まない」「飲み込まない」問題は、生活、行動 上の心の問題であります。ですから、その子の問題と同時にむしろその子の親の ほうに大きな問題があるのではないかとさえ言われるのです。
私は、日常診療において噛む習慣をつけるためにも次のようにお話しいていま す。
1.食事は手抜きをしない。
2.食卓には、親の目標量の7~8割を出し、子供がもう少し食べたいなと思 わせるくらいにする。おかわりをする快感も味わわせてあげたいものです。
3.食事は、後片付けが大変でも親も一緒に目標回数は一緒 にじっくり噛 んで味わい、早く、早くとは言わない。