No.045 定期検診の励行を!! パートIII
定期検診について2回お話ししてきましたが、ここで小児歯科臨床での定期検 診について私はどのように考えているのか少しまとめてみたいと思います。
小児歯科の目的は、時々刻々成長変化して行く小児の健全な永久歯列と、それ がきちんと噛み合うようにしてあげる事であります。単に、痛んでいる歯の治療 をするだけではありません。しかし、虫歯が他の歯科疾患のベースになっている 現状では、虫歯のコントロールが最重点課題であります。そのためにも口の中の 清潔さをいかに維持するかにかかっているのです。その上で行われる治療は、口 腔が本来持っているべき色々な機能を回復し、いったん治療が終了すれば、その 効果を持続させるために定期検診が必要なのです。
小児歯科における定期検診を考えるとき、同じようなものとして、一般歯科の 定期検診、あるいは車の定期点検などが思い浮かべられます。これらの場合は、 今は特に症状は現われていないけれど、その兆候はないかと行った事柄をチェッ クし、もし見つかれば早期に処置し、それまで続いていた機能をいかに持続させ るかです。車ですと決して元の機能にまで戻ることはなく、早晩、廃車というこ とになります。小児歯科の定期検診の場合は対象となる子供は、時々刻々成長発 育し、人が本来持つべき機能を営むべく大人へと進行しているのです。ですから、 小児歯科の定期検診は、さきほどの定期検診や定期点検の意味合いの他にもっと 大きな役割があるのです。発育途上の歯の動的変化、それを植立している顎の発 育変化、あるいはそれらの変化に影響を与える小児の環境要因などの知識を総動 員して、正常な成長軌道にいかに乗せてやるかなのです。
小児の口腔になされる予防的、あるいは、治療手段は、すべてこの成長変化を 正しい方向に助長するものでなければ、基本的に全く意味をなさないものといえ ます。
そういう意味では、定期検診が小児歯科臨床の中で最も重要であると言っても 過言ではないのです。