先日、12歳の女の子の歯並びが気になるという事で予約の電話が入りました。 特に虫歯や歯肉の病気はなく、乳歯は全て永久歯に生え替わっているとの事です。
先月のお話しでは、私の診療所にとっては、この子はもう卒業の時期に来てい るということになります。いろいろお話しをうかがっていると、永久歯が未だ生 えていない箇所があるとか・・・。とにかく一度お口を見せて下さいということ になり、アポイントメントを取りました。
そして、その後来院され、お口の中を見たのですが、右上を除いて犬歯3本が 頬の方へ飛び出している八重歯です。歯は全部生えており、ほとんど完全に犬歯 1本分ずつスペースが足りないのです。
ところで、右上の犬歯の部分はきちんと生え揃っているではありませんか。し かし、犬歯の後ろの第1小臼歯が1本足りません。よく聞いて見るとその歯は生 えて来た時から虫歯のようになっていて、歯の出来具合が悪いとかでだいぶ以前 に抜いたとのことなのです。
この子の場合、たまたまその部分を抜歯したので右上だけがすんなりと歯が顎 の中に収まっていたのです。では、他の部分についても噛み合わせの事を考えて 第1小臼歯を抜歯していたならば・・・ひょっとしたら特に何も外から人工的な 力を加えなくても右上と同じようになっていたかも知れませんネ!
実際には、顎の大きさとこれから生えて来る永久歯の大きさを分析して、第1 小臼歯を抜歯して犬歯が八重歯になるのを未然に防ぐ方法として、連続抜去法と いう矯正の方法があります。
この子はおそらくその連続抜去法でうまくいった症例だと思うのですが、今と なってはもう自然にはうまく揃えることは無理です。抜歯して出来たスペースへ 犬歯に矯正器具をつけて移動させることになります。 このようなケースは定期 的に検診を受けていれば未然に察知し、手が打てたのです。
矯正の必要な患者さんの中には上下の顎骨の関係が異常なため未然に手の打 てない難症例も多々ありますが、定期的な管理によって未然に発見し、未然に直 してしまえる不正咬合もたくさんあります。小児歯科ではそれを咬合誘導といい ます。そして、それら正常な咬合関係を獲得して行く事を咬合育成と呼んでいま す。
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