先日の新聞に出ていたので読まれた方もおられると思いますが、この11月1 0日にWHO(世界保健機構)が世界の主要国の児童の虫歯率を比較した結果、 日本は平均4.9本で、5段階評価で「2」のレベルだとの報告を公表しています。

私は、このくりあーNo24(昭和62年7月号)で、世界で虫歯は今!!という記 事の中で第11回国際小児歯科学会に出席した感想として、今や西欧先進諸国を 中心にして、虫歯の問題はほとんどなくなった感があります、と書きました。

今回の報告によって、はっきりと数字的にも裏付けられたといえそうです。

小学校卒業時期の12歳児の、治療済みの歯も含めて、虫歯の平均本数を比較 したものです。対象24ケ国のうち、フィンランドの1.7本をトップに、オー ストラリア、アメリカ、イギリス、スイスなど半数の12ケ国が3本以下でした。 逆にユーゴスラビアは6.7本で最低ランク「1」。日本は4.9本でハンガリー 5.0本、西ドイツ6.2本とともに「2」と判定されたのです。

先進国の虫歯率は1960年代初めの平均10~12本から大幅に減少している のは、水道水のフッソ化、フッソ入り歯磨剤などの効果だという事です。日本で は育児環境の改善などで虫歯が減少し初め口の中の健康に関心の高い人たちの レベルはもはや3本以下になりつつあるのです。しかし、全体のレベルはどうか といいます上に書いたような成績です。 また、WHOの報告では、20年前は 虫歯率が1本未満と低かった発展途上国で駄菓子や精糖の消費が増え、いくつか の途上国で平均4.5本の虫歯が報告され、先進国の「落第生」クラスの国も出て きたと警告しているのです。この段階では虫歯は正に文明病のように見えるので す。 日本はいろんな意味で先進国の中でもトップを切っていると言われている のですが、口の中の健康も含め、名実ともに先進文明国のトップになるための条 件として、今何が必要なのでしょうか?