この暮れにテレビを見ていると面白い番組がありました。見られた方も居られ ると思います。それは宇宙飛行士が数週間の宇宙飛行を終え、無事地球へ帰還し たときの様子です。
宇宙飛行士といえば、並大抵の体力と知力ではなれないのは皆さんご承知のと おりですが、彼等がやっと地球にたどり着いたというのに、元気よく笑顔で宇宙 船から飛び出してくるどころか、きちんと立って歩くことすら出来ない半病人の 様な状態で出てくるのです。
地球上の人間の骨格は、地球の引力に対して常に抵抗するようにして、その存 在が成り立っているということらしいのです。無重力状態の宇宙空間にいれば、 人の体は何も強靭な骨格で支えなくても良いのですから、骨格は急速に衰えると いうことです。筋力もしかりだとのことです。ですから、宇宙飛行士は常に筋肉 のトレーニングを続けているそうです。しかし、当初は骨まで弱るとは思いもよ らなかったようです。
このことと、照らし合わせて、私たちが生きて行くための食生活変化に目を向 けて見ると、最近の子供は、軟らかいものを好み、あまり噛もうとはしません。 これが一時的な現象であればそれほど問題はないのでしょうが、食習慣が形成さ れる重要な時期を通してずうっと、そして生きて行くためには待ったなしで、毎 日食べ物をとらなければなりません。毎日毎日がそのようにあまり噛むこともな く過ぎていくのであれば必然的に顎の骨は退化して行くのは誰もが想像できる ことであります。実際、最近の子供の顎の骨の発育が悪くなり、歯並びの問題が 深刻です。顎の大きさと歯の大きさとのバランスが崩れてしまった子がたくさん います。そのつじつま合わせに、永久歯を抜いて矯正しているのが現状です。そ のようにして対応していくよりしかたがないのでしょうか。人間は(日本人は) 将来ともにあまり食べ物に困る事もなく噛めなくても済ませられるのでしょう か。例えそうであったとしても、果たして噛むことは無駄な労力なのでしょうか。
噛むことによって常に影響力を受けているのは顎の骨だけではありません。日 頃、私たちが何とも思わずに過ごしていることの中に重大なものが含まれている かもしれません。
人間が生きて行くための基本的なものはがっちりと確保しておかなければな りません。
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