No.055 生涯歯科健康管理のすすめ
大阪府と大阪府歯科医師会は昨年から生涯歯科保健推進協議会を発足させ、妊 産婦,乳幼児から老人、それに障害児などまでを含めた全年齢層を網羅した効率 的な地域歯科保健システムを確立し、生涯における歯科保健の推進を図ろうとし ています。
今回、私はその中の一つの班である妊産婦,乳幼児歯科保健班の一員として協 力する事になりました。そして先日、第1回目の会議に出席して来たのですが、 そのとき考えさせられることがありました。
皆様もご存じのように、日本はここ何年かのうちに本格的な高齢化社会へと突 入し、老人の割合が急速に増えてくるのです。この高齢化社会に対して歯科保健 の面からの対策も立てて行かなければなりません。既にいろいろな対策が立てら れつつあるのはご存じだと思いますが、その一つが老人保険でもあるのです。
さて、高齢化社会に対して私たちはどうしても老人問題のみについて考え勝ち ではないでしょうか。実際、子供の虫歯の問題はこれまで10年以上もかなり突 っ込んでキャンペーンなどをやって来て、好転しつつありますから、これ以上何 をやるのかと言わんばかりの方もおられます。・・・果たしてそうなのでしょう か。
高齢化社会を長い目で本当に考えて見れば、今は子供でも何十年か後には老人 になるのです。老人の予備軍としての子供の問題をも含めた一貫した対処があっ て初めて健全な高齢化社会があるのではないかと思うのです。
そのように考えてみると、人生のスタートの時期にある子供の口の中の健康を 得るための健康習慣をつけることが非常に重要であると思います。
特に虫歯はいくら治療しても完全治癒はなく、放置すればだんだん悪くなり、 ある程度すすむともう自然に治る事はないのです。
子供の口の中の健康、そしてその健康習慣を左右するのは、そうです、お母さ ん方なのです。お母さん方は、子供のため、子供のためとがんばられるのはそれ はそれで非常に有難いのですが、大きく目を見開いて生涯歯科健康管理を考える とき子供だけ、老人だけといったある特定の人だけでなく家族みんな、社会のみ んながそれぞれに健康であるために日頃から心がける事が大切なのです。