最近、噛み合わせがおかしいので見てほしいといって来院される方が多いので すが、そのほとんどは、永久歯の生えるスペースが不足しているために起こった もののようです。

ところで、口の中に乳歯が生えそろう3歳児の不正咬合の割合は約10%です。 そして、その子の永久歯が生え始め、小学校へ入学する6歳の時点でもやはり不 正咬合は約10%です。この3年間にはほとんど不正咬合は増えません。むしろ 日常の噛み合わせによって犬歯などがすり減って軽い受け口などは正常になる ケースもあります。指しゃぶりなどの悪習癖も無くなり開咬も治る子がいます。

しかし、6歳以降永久歯が乳歯にとって替わり、永久歯の噛み合わせが完成す る13歳での不正咬合は約30%に急増するのです。すなわち、不正咬合は乳歯 から永久歯への生え替わりの時期に起こるのだと考えてもよいようです。

この時期に最も多く発生する不正咬合は、叢生といって、前歯の生えるスペー ス不足による乱ぐい歯です。これは目に見える所ですので皆さんたいへん気にな るようです。この部位の不正咬合は3~4カ月に一度の定期検診で歯の生え替わ りをチェックしてやれば未然に防げるケースが多いのです。スペース不足も後ろ の乳歯を削ったり、抜いたりして前歯の部分だけはとりあえず並べることができ ます。

前の歯の歯並びが一段落すると今度はその後ろの歯が生えるスペースの不足 です。犬歯が飛び出して生えてきたりします。いわゆる八重歯です。 女の子の 八重歯は可愛らしいとも言われるようですが、これは日本独特の事のようです。 でも男の子の八重歯は本人があまり気にしていない場合もありますが日本でも あまりいただけないようです。西洋ではドラキュラを想像するらしく、極端に嫌 われます。

最近ではあまり噛んで食べないためか顎の発育が悪く、顎の形がキャシャな子 が目立ちます。上あごが出っ張った東洋人独特の噛み合わせからだんだんと、顎 がほっそりとし、下顎が突き出した西欧化した顔の人が増えて来ているようです。 外見はいいのですが、口の中を見ると歯が生える場所が無くて歯がゴチャ、ゴチ ャしている人が多いのです。

乳歯列から永久歯列に生え替わる小学生時代 の咬合管理によって、不正咬合 を未然に防いだ り、その後の矯正治療をやりやすくすることが できるのです。