No.064 歯が抜け落ちてもあきらめないで!
先日、お昼休み時間、以前に当院にかかっていたという患者のお母さんから 電話がありました。もう何年も前に引っ越ししていたのに私のことを思い出して くれたようです。
電話の内容は、今しがたお子さんが自転車に乗っていて道の溝にはまり、コン クリートにぶつかり大切な永久歯の上の前歯が抜け落ちたというのです。歯はテ ィッシュに包んで持っているとの事です。歯が脱落してまだ20~30分だとい う事なので、私はまずはその歯を水道水でこすらずに、水を流すようにして洗う ように指示し、少し気持ちが悪いかも知れないが、一旦うがいをして口の中の血 液を吐き出し、できればとりあえず歯を元の穴に入れて口を閉じさせるように言 い、折り返しの電話を待つように言いました。一方、運よくその患者さんのお宅 とは一駅違いで近くの小児歯科医の友達がいたので、すぐに電話を入れ事情を説 明し、すぐに診てもらえるようにお願いし、早速患者さんに電話で連絡をとりま した。
結局、歯が脱落してから30分くらいでその子の歯は私の指示通りに応急処置 がされ、1時間以内には脱落歯の再植術が始まり、あとで経過報告を受けたとこ ろによれば、予後は良好だということでした。
今回のケースは歯が脱落してから何時間も経ってからではもう遅いのですが、 お母さんの機転で幸い歯を失わずに救えたのです。毎日の生活でどんな事がいつ 起きるか分かりませんがとっさの場合に正しい処置が取れるように普段から 色々な事を心得ておく必要があると思います。とりあえずは、口の中の問題が起 こったときは、遠慮しないですぐにお電話ください。専門医としてできるだけの アドバイスをさせていただきます。 今回は、外傷によって歯牙脱離の再植ですの で、歯を何かにぶつけてグラグラしているなどとは違って一旦生体とは切り離さ れてしまったのですから、治療の正否は何といっても時間にかかっているのです。 迅速な処置が第一条件です。当院でも数例の経験がありますが、今のところ全て 経過は良好ですが、10年、20年という単位での将来的には歯根が吸収され、 トラブルが起こり、一生涯良好という事はないようです。やはり定期的な管理が 必要です。
