子供はお菓子がだい好きです。お菓子を持って満足そうにお母さんに連れられ て外出しているお子さんを見る時、お子さんの笑顔と虫歯が重なりあって罪作り だなあと感ずるお母さんも多いと思いますが、お母さん方の中に、お菓子を食べ ても虫歯ができなければよいのにと思われるのは人情です。この要望に答えて現 われたのがパラチノース使用のお菓子だというのですが。
このパラチノースとはいったいどのようなもので、どのようにして作るのか簡 単にお話しして見ましょう。
パラチノースは蜂蜜や砂糖キビの中に微量に含まれる天然の糖で、ブドウ糖と 果糖が1個ずつ結び付いた二糖類です。その成分は砂糖と全く同じなのです。し かし、この2つの成分の結び付きが砂糖と違っていて、虫歯菌であるミュータン ス菌の栄養源にはならないのです。ですから、パラチノースを工業的に製造する ための原料は砂糖で、それに酵素を作用させて作るのです。このパラチノースは ミュータンス菌の栄養源にはならないのですが、人間にとっては、小腸でブドウ 糖と果糖に分解され、消化吸収され、エネルギー源となります。この限りでは、 子供にとって願ったりかなったりということになるのですが、お母さんのダイエ ットには全く役にたちませんよ!
さて、お宅ではどのように取り扱いますか。
大橋小児歯科では以前からお菓子を制限しなさいとは指導していません。甘い お菓子については食べる時はおやつの時間にしっかり食べさせてあげるように 話しています。しかし、だらだら喰いだけはやめるように言ってきました。その ようにして虫歯を防いで来られたお宅がたくさんあります。その反面、子供にせ がまれて、あるいはお母さんが手抜きをして、ついついお菓子に子守をさせて、 次から次と虫歯を作ってしまっているお宅も多いのです。私は甘いお菓子を制限 していた訳ではありませんから、パラチノースのお菓子の方がいいですよと指導 するのもおかしな事ですが、虫歯予防の観点からはベターですよと言う事にし ています。
ところで、気をつけていただきたいのは、今までの話は砂糖とパラチノースの 比較のことであって実際に市販されているお菓子で「虫歯にならない(新甘み料) パラチノース使用」と表示していても、使用している糖の70%以上がパラチノ ースであればそのように表示出来るのであって、残りの糖は何であるかが問題で す。いずれにしても安心してダラダラ喰いしていれば大変なことになります。
[休診日] 木曜日・日曜日・祝日