No.077 お出かけは歯ブラシ持参で -パート2-
くりあー9月号でお出かけの際はできればいつもお使いの自分にあった歯ブラシ を持参したいものです。と書きました。
その後、ある歯ブラシのメーカーが新しい歯ブラシを開発したので専門家としての 私たち小児歯科医の意見を聞きたいということで私たちのスタディグループの集ま りに新製品を持って来られました。皆さんは、恐らく歯ブラシなんてどれもそれ程変 わりはないとお考えだろうと思うのですが、あの小さな歯ブラシにだって流行があり その時代時代によってかなりの差があるのです。たとえば一時代前には歯磨きといえ ばローリングと言われるぐらいローリング磨きが普及したものですが最近では少し 歯磨きに関心のある歯科医であればもはやそんなことは言いません。しかし、未だに 歯ブラシといえばローリング法が出てくるくらい日本中に広まったブラッシング法 は他にはないのではないでしょうか。
話は新開発の歯ブラシに戻りますが、その歯ブラシの要点は、各年齢の子供の口に あった歯ブラシを今のブラッシング法に合わせて何種類か用意することであったよ うです。口の大きさに応じて歯と歯肉の境目まできちっとフィットすること、そのた めにはコンパクトでなければ駄目です。また子供の手にきちんとフィットするハンド ルでないと駄目です。毛束が長すぎて寝てしまっても困りますし、すぐに開いてしま っても駄目です。毛の先がきちっと丸くなっていなければ、磨いたときに歯肉を傷つ けてしまいます。ホッペの奥まで突っ込んで磨けるようにするにはどうすればいいの か、使ったあと清潔に保管するにはどうか、などなど歯ブラシの機能そのものだけで も本当にたくさんの検討課題がたくさんあります。その上に色、キャラクターなど子 供が喜んで歯磨きをしようと思うような、いや子供が喜んで持とうと思うような、目 を引くようなものでなければなりません。
ただの歯ブラシではありますが本当の健康機器としての歯ブラシにはそれだけの 思いが込められているのです。今までは、お母さんが磨くのは、新しい歯ブラシで、 子供が持つ歯ブラシは噛んですぐにダメにしてしまうので痛んだ古いものを使えば いいといった考えでしたが、最近の流れとしてはお母さんが磨いてあげるための歯ブ ラシはお母さんの手に合ったものをというようになってきたことです。
その会合で、最近はホテルの歯ブラシもだいぶ良くなってきたので持って帰って使 う、あるいは同じ歯ブラシを買うような時代になってきたと言われた人がいたのです が、この前の旅行でお土産に持って帰ったのを使って見ましたが口の中が擦り傷でこ の数日困っています。やはり、お出かけは歯ブラシ持参がよろしいようで。