No.084 虫歯多発は異常児か?
先日、保育所の歯科健診に行ってきました。毎年の行事とはいえ、私にとって は、最近の子供の歯、口の中の状態はどうなっているのかを知る貴重な機会です。 もちろん、その子とその子の両親にとっては、虫歯など口の中の病気をチェック する重要な健康診断であることは申すまでもありません。
今年の健診を終えて感じたことは、全体として、虫歯はかなり減って来ている ようで、お母さん方の努力が実を結びつつあるようです。しかし、ほんのわずか ではありますがかなりひどい状態の子供も見受けられます。それらの子供たちは、 数が少なくなればなるほど特別な子供のように見えてくるのは不思議です。
ほんの何年か前までは、虫歯だらけの子が当り前だったことを思えば隔世の感 があります。
ところで、この4月に保険点数の改定がありましたが、その中で歯科口腔衛生 指導料という項目が入り、虫歯多発傾向者に対する歯科衛生士による実地指導及 びフッ化物局所応用が出来ることとなったのです。今までの保険制度では何か病 気があって、それに対する治療に対してのみ保険が適用できるのであって、虫歯 予防などには一切保険が適用されなかったのです。いよいよ予防にも目が向けら れるようになったのかと内心喜んだのは束の間、そうではなかったようです。
今回、それが適用されるようになる場合は、3~4歳未満児では虫歯の治療済 みの乳歯が6本以上。4~5歳未満児では8本以上。5~6歳未満児では10本 以上で治療完了者。という条件がついているのです。すなわち,これだけも治療 をした歯の子供は例え治療が完了したとしても、虫歯多発傾向者ということで, これからも虫歯の危険性が非常に高い異常者、特別な子供であると考えたのでし ょう。この考え方は、ガンの手術が成功して治った人でも、その後また再発の危 険が高いので、保険で検診が受けられるのと同じ様なものでしょう。
今年の保育所の健診を終えて感じたことと、今回の保険改定の内容を重ね合わ せて見ると、今や虫歯の多い子供は特別な子供と言うことになります。そのよう な状態になったとしたら、やはり子供の日常生活に何か問題があると考えなけれ ばならないのではないでしょうか。