No.093 子どもにも顎関節症
先日、顎関節症についての研修会に出席しました。わたくしたち歯科医師仲間 の最近の関心は高齢化時代にどう対処するか、虫歯にかわって歯肉の病気をどう して予防し、また治療するか。歯についてはいかに奇麗に、審美的に治すかとい ったことに移ってきています。そして最近、特に顎関節の異常を訴える患者が増 えてきたことが話題になり、私の出身大学同窓会主催の今年の卒後研修会のテー マが顎関節なのです。
さて、顎関節症といえば大人の病気と相場は決まっていたのですが、どっこい このところ子どもでも若年性顎関節症が見られるようになり色々なところで話 題になっています。
顎関節症とは、顎を動かしたり、物をかんだりしたときに顎関節およびその筋 肉の痛みがあること、口を開けたり、閉めたりしたときにカクカク、コリコリな どの雑音があること、あるいは口を開けにくいとか顎の運動の異常があるといっ た3つの症状のうちいずれか一つ以上の症状が認められた場合をいいます。
ある調査によりますと、幼稚園児で8.2%,小学校低学年児童9.4%,高学年児童 20.2%、中学校生徒16.0%に顎関節症が見られたそうです。 症状別では関節に 雑音が80.2%、関節痛が19.8%ということです。
では、その原因は何かということになるのですが、先日の研修会では咀嚼とい うのは、生まれつき持っている本能ではあるけれども、最初からの咀嚼の学習に よってつかさどられ、不正咬合と顎関節症の成り立ち方のベースは共通で、不正 咬合の誘因として食物摂取の方法に問題があるというのです。哺乳状態、食物の 性状、偏咀嚼癖などがその誘因です。特に毎日の食物があまり噛まなくてもよい ような軟らかいもの、あるいは食事のさいに飲み物を同時に出すことなどが大き く影響しているようです。