No.101 歯磨きは明るいところでよく見て!!
先日、3歳の女の子がお母さんに連れられて初めて来院しました。お母さんの言う ことには、まだ虫歯はないのですが虫歯になったらたいへんなのでもっと早くから歯 医者さんに連れてきたかったのですが、嫌がってなかなか付いてきてくれなかったけ れど、やっとその気になってくれたので来ましたと言うことです。なかなか熱心なお 母さんのようで、早めに虫歯予防を始めたいということです。 このようなお宅の子 供さんは、さぞかし口の中は奇麗にしていることと思い勝ちなのですが、案外そうで ないケ-スが多いのです。果たして今回もやはりその様です。
その子の口の中を調べて診るともうすでに虫歯ができているし、今日来る前に歯み がきをしてきたというけれども全体的にかなり汚れが残っているようです。 虫歯や 歯垢を普段からよく見ている者にとってはこんなものがと思うのですが、それを特に 意識して見ていない人にとっては案外みえていないようです。
私の診療所では「励行したい、寝る前の歯磨き!!」という事を今まで何回となく お母さん方に指導して来ました。そして、ほとんどのご家庭できちんと励行してくれ ているようです。しかし、こちらが期待しているほどには、あるいはお母さんの方が もっと期待しているのかもしれませんが、なかなか虫歯は減らない・・・。 どうし てでしょうか。
これまで「磨いているのと、磨けているのとは違うのですよ」「おまじない磨きで は駄目ですよ」とよく言ったものです。よくよく考えると少々無責任な事を言ってき たようす。
先日の私たちのグル-プの研修会での発表のなかに「夕食後の歯みがきと昼間の歯 みがきとでは刷掃効果はどう違うか」という演題がありました。
その先生はある大胆な仮設を立てて患者さんに依頼をしてあることを試みました。 それは、今まで夕食後に歯を磨いていた母親に、昼間の明るい場所で歯を磨くように 依頼しました。その効果を比較するため、夕食後の歯磨きは中止してもらいました。
その仮設とは、見えないところで磨いてもうまく磨けるはずがないのでは、という ことです。
まさかと思いながら行った試みだったようですが、恐ろしいほどの変化が現われた ということです。
明るければ自然に歯がよく見え、人は不思議なもので、よく見えればおのずと手が そこに伸びるもののようですといっておられます。
私は夜寝る前の歯磨きを止めて、昼間にとはまだよう言いませんが、歯磨きをする
所は洗面所とは限らず、明るく子供の口の中がよく見える所でゆっくり楽しくできる ようにしてほしいものです。