No.104 新しい虫歯治療法
歯を磨く時、染めだし液で歯垢を赤く染め出して磨くと分かりやすいですね。 それと同じように虫歯になっているところを赤く染め出して虫歯で傷んでいる 所だけを取り除けたら、余分なところを削らなくて済むのでいいと思いませんか。
そんな染めだし液が開発されてかなりの年月が経ちます。それを子供の虫歯治 療に出来るだけ利用しようと考えつつなかなか日常的に使い切ることができず にいたのですが、最近遅ればせながらその環境が整いつつあります。
普通、虫歯は目で見て穴が開いていたり、その部分が黒褐色に変色していたり するので誰にでも簡単に確認できます。ですから、従来はその部分から削り始め、 おおまかな所を取り除きます。そして奥のほうは手の感触や変色していないかな どを頼りに完全に虫歯の部分を除去し、その後に詰めたりかぶせたりするために 少しは健全な部分を削って形を整えて次の処置へと進めて治します。
ここで紹介しました染めだし液(虫歯検知液)で染め出す虫歯の部分とは、従 来虫歯として考えられていたもののうちでも、回復不可能な死滅してしまってい る部分だけを染め出すのです。器具で削れば少し軟らかくなっていて削り取るこ とはできるけれどもその組織はまだ生きていて、条件さえよければまだ回復可能 な所は赤く染めだしません。言い替えれば赤く染まっている死滅した部分を削っ ている限りは、そこはもう神経も死んでしまっていますから痛いということもな いのです。ですからこのテクニックを十分マスターすれば麻酔注射なしでの無痛 治療も夢ではないのです。
ところで、最小限の範囲だけ削りとった形の整っていない虫歯の部分は、きち っと修復しなければなりません。これについても最近の治療技術や材料の進歩で 可能になりました。歯と同じ位に固くて、なおかつ歯のエナメル質や象牙質と強 固に接着する合成樹脂が開発されています。 以上のことを要約しますと虫歯に 犯されて死滅した無痛の回復不可能な悪いところだけを削り取って。その穴のあ いた部分だけに接着性の材料を詰めてやれば良いということになります。
こんな治療法が可能になってきているのですが、これが現実に実行され成功す るためには何が必要かといいますと、せっかく治した歯をまたあらたに虫歯にし ないということです。
最近の虫歯減少傾向の中では、この新しい虫歯治療ができる土壌ができつつあ るといえるのではないでしょうか。 つづく