No.105 新しい虫歯治療の考え方
先月、新しい虫歯治療法として、虫歯検知液の お話しをしました。 最近では、虫歯の部分は最小限削り取るという 考え方です。 私が学生の頃は、治療のために来院された患者さんの口の中に虫歯ができてい
るということは、その虫歯のある周りはこれからも虫歯が広がる要注意域であり、 近い将来、ほとんど確実に虫歯になるであろうということで、予防拡大と称して、 虫歯と繋がっている小さな溝はあらかじめ削りとり填めるように習いました。こ れを予防充填といい、れっきとした治療法だったのです。今でも実行している歯 科医は沢山います。実際、虫歯は早い遅いはあれどんどん進むものと考えられて いるようです。その他にも、歯と歯の間は歯ブラシも届かない不潔域と称してそ の部分に填め物の辺縁が来ないようにその部分全体をカバーして填めるように 習ったものです。そのようなことをきちっと考えて治療することが良心的な立派 な歯科医そして考えられていたのです。
しかし、皆様、よく考えて見てください。まだ虫歯になっていない所を、虫歯 になりやすいからと削り、填めるのが良心的治療であるかどうかを!!
この良心的治療の歪んだ行き着く先は、虫歯ができたら、この子は次から次へ と虫歯が拡大するからと、歯全体を金属で被せてしまうといった荒っぽい治療へ と繋がって行きます。
子供の場合はあまりありませんが、大人でも少し高齢になれば、ややっこしい 治療をするよりも、いっそのこと抜いて、すっきりさせて、入れ歯にしようとい うことになりかねません。このために、どんどん自分の歯を失っていくケースが 多いのです。
現在では、虫歯感受性テスト(虫歯に将来なり易いかどうかを調べる)をして、 要注意患者には徹底した歯磨き指導、食事、間食指導を行い、虫歯になり難い状 態にまで指導し、その上で填めるなどの治療をすることが肝心だと私は考えます。 それでも、場合によっては、どうしても虫歯になり易い人には、一昔前までの予 防拡大も必要かも知れません。 最近では、若いほとんどのお母様方は、より健 康的な快適な生活をと考えて、頑張っておられるようですが、中には、まだまだ 痛いところだけ治してくれればいいので、あまりややっこしい、うるさい指導な どはもう分かっているのでいいですといった方もおられるようです。
これからの時代は、治療から予防、そしてもっと積極的に、健康増進を目指す ようになってきているのです。そのことにいつ本当に気付くかが大きな問題だと
思います。