No.107 映像メディアは流動食だ!!
5月19、20日の2日間日本小児歯科学会が長崎で開催され出席しました。何年も 前から都市部を中心に子供の虫歯が減ってきていることを”くりあー”で何回も書 いて来ましたが、最近では全国的にその傾向が表われてきました。そのためか発 表される演題も虫歯の研究よりも噛み合わせの問題、歯茎の問題などのほうが多 くなっています。未だにひどい虫歯で困っている人はかなり時代遅れの感があり ます。
最近の子供は食べ物をあまり噛まないので顎の骨の発育が悪く、歯が十分並ぶ だけのスペースが確保できないため歯並びがうまくいかず矯正しなければなら ないケースが増えて来ています。これはただ歯並びだけの問題ではなくもっと根 の深い問題をはらんでいるであろうことは想像に難くありません。
さて、先の学会でニュースキャスターの露木茂さんが「テレビ文化論」と題し て特別講演されました。
その中で彼は、現代の子供たちは生まれてすぐにテレビに出会い、一生テレビ のある生活を送ることになり、その影響は計り知れないと言われます。3歳児で は1日に2時間以上テレビを見る子が7割にもなります。また、「幼児が食事を する部屋にテレビがある」という家庭が大部分で、そのテレビを67%の家庭では 食事中に「いつもつける」か「ときどきつける」と答えています。また、彼はど んなテレビ番組であれ、つけて20分もすれば、脳波は静かに座っていたり、横に なっていたりする人に見られるα波が出てくると言い、子供にとってはかなり激 しい筋肉の活動であるべき食事中の咀嚼、咬合は、こんな状況下ではうまくいっ ていないのではないだろうかと危惧しておられました。
そして、テレビなどの映像メディアはいわば流動食で簡単に入るけれども満足 感がない。それに対し、活字メディアは固形食だ、文章をかみ砕いてやらなけれ ば理解できないと結んでおられました。
現代っ子は心身ともに本当に色々な問題を抱えているようでそれをリードし なければならない親の役割はたいへんですね。