No.108 気になる歯ぎしり
先日5歳の女の子が定期検診に来院しました。虫歯の問題は特になかったので すが、お母さんが「毎日歯ぎしりがひどくて、口の中がおかしくならないかと心 配です。」とのことです。
そういえば、よく子供の歯ぎしりが気になるという訴えがあります。 一般的 に歯ぎしりの原因は 1、歯を噛み合わせた時、歯全部が同時に合わないで、あ る一部分だけが早く当たる(早期接触)など噛み合わせに問題があるもの。そし て 2、下に赤ちゃんが生まれたりして今まで通りにかまって貰えなくなったの で欲求不満がたまって、といった心理的ストレスに関係するものがあるとされて います。
子供の場合、顎の関節がまだ十分でき上がっていないし、乳歯が生え揃うまで は、噛み合わせが決まっていなかったり、乳歯から永久歯に生え替る時には噛み 合わせは大きく変わるので、噛み合わせの高さなどには比較的無頓着なようです。
すると、子供の歯ぎしりの原因はストレスだということになります。 子供は 子供なりにそれぞれ日常生活の中でいろいろなストレスに晒されています。それ らをうまく発散できればいいのですが、なかなかそうはいかない性格の子供もい るようです。あるいはそうは簡単に発散できないストレスもあるのです。また一 方、歯ぎしりによって欲求不満が和らげられるのではないかという推察もありま す。それは人がイライラ、落ち着かない時、貧乏ゆすりをしたり、髪の毛などを 触ったり、爪を噛んだり、ウロウロ歩き回ったりするのと似ているというのです。
このように考えてくると、歯ぎしりをしている子供を見つければ、先ず、その 元になっている心理的ストレスは何かよく考えてあげてほしいものです。子供な りにけなげにも反応しているのだと考える必要があります。
子供の歯ぎしりの結果、歯が摩り減ったりすることもありますが、周りの人が 心配するほど特に大きな障害はありません。大人の場合は、咬合性外傷といって 歯 根の周りの組織がダメになったり、顎関節の組織が壊されたりと影響は大きいの で注意する必要があります。