No.112 乳歯の虫歯の特徴
乳歯の虫歯には特徴があります。歯科衛生士専門学校での講義の復習ですが、 今回はそこのところを皆さんにも知ってもらえればいいなあと思いました。
1)齲蝕の感受性が高い(乳歯は虫歯になりやすい)
乳歯が虫歯になるときは、1本だけが虫歯になるのではなくて、虫歯になる環 境にあればそのあたりの歯がみんな虫歯になってしまうのです。ひどい場合はツ ルツルしている歯の表面でさえ溶けてしまいます。
2)進行がきわめて速い
歯の質が弱いので、虫歯の進行が本当に速く、口の中が汚れていればあっとい う間に根だけになってしまったということになりかねません。最近では、さすが ここまで汚れ放題にしている子は見当たりません。
3)歯の神経や根の先、根の周りにまで炎症が進みやすい
虫歯の進行が速い上に、歯全体の大きさに対して神経の入っている歯髄腔の大 きさの割合が大きく、歯質が薄い上に神経が十分発達していないのか自覚症状が 少ないので神経にまで虫歯が進むまで放置してしまう場合があります。
4)第二象牙質の形成が活発である
いっぽう、乳歯の歯髄はバイタリティにとんでいて再生能力や治癒力が旺盛な ので虫歯の進行が止まれば歯髄の内らから象牙質で補強されます。ですからもと もと神経のあったはずのところまですり減っていて、もう根だけになっていても 大丈夫という歯もよく見かけます。
5)発育環境に影響される
生まれるまでの母体の環境や、その後の育児の環境の変化は大きく歯の形成に 影響を与えます。
赤ちゃんがお母さんのお腹から生れるときの環境の変化は相当なものですか ら、きっちり歯に新産線という歯質の悪いところができるのです。
6)乳歯の虫歯はできやすいところに特徴がある
下の前歯は虫歯になりにくく、上の前歯は本当に早期に虫歯になりやすいので す。ですから下の前歯に虫歯のある子は重症虫歯と呼ばれることがあります。