No.117 気になる金属アレルギー
先日、3歳の女の子がムシ歯の治療に来て診療台に横になりました。順番が来 て私が診療椅子に座ったのですが、どうもおかしな臭いがします。小さな子供を 治療するのですから、たまにはおしっこの臭いやうんちの臭いなど、治療のため の病巣からの膿の臭いや腐敗臭などの診断のための臭い以外も嗅がせてもらう のですが、今回は違います。たばこの臭いに違いありません。顔を近づけて嗅い で見るとはっきりそうです。 この子はお父さんに車で連れて来てもらったので した。お父さんはいつものようにたばこを吸いながら運転をして来られたのでし ょう。まさか自分の子が身体中たばこの臭いをプンプンさせているとは思ってい ないのではないでしょうか。
恐らくその子はお家でも多かれ少なかれたばこの煙にさらされていることで しょう。
たばこを吸う人は、自分自身はそれを楽しんでいるのでしょうが周りの人にま で煙を吸わせる事になります。特に子供にはあまり吸わせたくはありません。た ばこの喫煙がその人の健康にどのような害をもたらすかについてはもう既によ くご存知の事と思います。左のページにがん予防・あなたもできる12カ条を掲 載しましたが、たばこはがんの原因としての重みが30%もあるのです。これが どれほどの重みがあるかといいますと、ムシ歯の原因の場合と比較すればよく分 かると思います。
ちなみに私が調べた結果ですが、夜寝る前に何かを食べてそのまま寝てしまう ことのムシ歯の原因としての重みが27%だったのです。私が子供を持つお母さ んにムシ歯予防を話すとき先ず強調する項目です。これなしではムシ歯予防は不 可能と言っていることです。
ですから、この数値を見れば、いかにたばこの全身に対する害が大きいかは明 らかです。
ここで、歯科の面でのたばこの害についても触れて見ますが、一般的には「歯 の着色」や「口臭」、「味覚の低下」などが言われますが、喫煙は口腔衛生状態 などの喫煙以外の要因を統計学的に除外しても、喫煙は独立した歯周病の原因因 子のひとつであることが明らかにされています。
お父さん、お母さん、大人は子供にたばこの煙攻めにしないでください、また 大事な子供のためにもご自分の体のためにも、たばこには十分な配慮が必要です。