No.133 唾液の洗浄作用 -虫歯は夜つくられる-
先日、唾液の洗浄作用と口の健康というテーマで講演を聞きました。私は普段
下の前歯に虫歯ができている子供を見かけた場合、お母さんにあなたの子供さん は、虫歯について特に要注意ですと警告を発します。 実際、下顎前歯部を含ん で虫歯がある場合重症虫歯と呼びます。
それはなぜかといいますと、下顎前歯の辺りは常に唾液が溜まっているうえに 舌が動いて撹半してくれるので、自然の自浄作用で洗われているので虫歯ができ にくいのです。
この理屈については、誰でも納得すると思うのですが、実際、口の中の各部位 別の洗浄の程度を調べた結果でも、歯の唇頬側の方が舌側よりも悪く、中でも最 も悪い部位は上顎前歯部唇面で、最も良かったのは下顎前歯部舌面だったのです。 それら両者の差は約6倍もあることが分かったのです。人には耳下腺、顎下腺、 舌下腺の三つの大唾液腺があり、耳下腺は一番奥の乳臼歯の辺りに、そして顎、 舌下腺の両者は舌の下に唾液を送り出しているのです。その量は1日に1~1.5 リットルといわれ、これだけの量が分泌するのですから、部位によって虫歯にな り易くなったり、なり難くなったりするのもうなずけます。
また、一時に口の中に入った砂糖の量の多少は、唾液の洗浄作用によって胃の 方に洗い流され、2~30分もすれば、その残留量にはあまり差がないことが分 かっています。甘いものを口の中に入れた時、砂糖の量はあまり関係がないとい うことになります。
これからも、ダラダラ食いが良くないことが分かります。
口の中に砂糖を含む食べ物が入ったときの刺激唾液の洗浄作用と口に中に特 になにも入っていなくて起きている時の安静時唾液の洗浄作用は虫歯予防の上 で大いに役に立っているようです。では寝ている間はどうでしょうか?
睡眠中の唾液の分泌はほとんどストップしているのです。口の中に食べ物が残 ったままというのは論外としても、寝る前の歯磨きをしなかったり、磨き残しの まま寝てしまったりした場合は、「虫歯は夜つくられる」のごとく、口の中はス ラム化するのです。