新年明けましておめでとうございます。
平成10年が皆様にとって意義ある良い年でありますよう お祈りいたします。
最近、プライマル・ケアという言葉がよく聞かれます。
日本語で「一次医療」「初期医療」などの言葉に訳されますが、医療技術中心 の従来の考えからすると、一段低い医療といった印象があり、その内容を正しく 伝える事ができないので英語のまま使われています。 ところで、乳歯の事をプ ライマリ・ティースと呼びますが、永久歯に対して最初に生えて来る歯という意 味があるものと思われますが、従来永久歯よりも疎んぜられた歴史がありました。
さて、プライマリ・ケアとは「個人や家族が最初に接する保健医療(ヘルスケ ア)システムでこのシステムの中で、医師は基本的なサービスを提供し、医療に 参加するチームを上手に調整しつつ、突発した病気はこれを上手にさばいて患者 の安全を期する。
また、個人や家族の日常生活に連続的に配慮し、高い健康レベルが保てるよう に教育し、生涯続く慢性疾患をもつ患者やハンディキャップのある者に対しては それを背負いながら強く生きられるように指導し、援助することである。」と聖 路加病院の日野原重明先生は言っておられます。
私たち小児歯科医が定期健診(リコール)システムを重要視し、それを徹底し ようとしていることと、かなりの点で同じような考えの基盤にあるように思える のです。
従来、歯科では早期発見、早期治療をスローガンに掲げていたものですが、小 児歯科では、それでは遅すぎると考え、早期認識、早期予防を心がけるよう指導 してきたのです。
最近の子供の虫歯減少によって、従来の削って詰めるという治療から何とか脱 却できそうな状況です。
私は、人間の人間として生きていく上で、その食べることの意義を明らかにし、 そのための歯、口の役割を通して子供から大人まで一生の全身の健康に関わって 行く事の大切さを、今年はプライマリ・ケアの視点で考えて行こうと思います。
[休診日] 木曜日・日曜日・祝日