No.153 新しい医療文化の発信をめざして
4月は新年度の始まりの月です。小、中学、幼稚園、保育所などに新しく入ら れるお子さんをお持ちのご家庭の皆様、おめでとうございます。
人生の折々の節目を、心あらたに張り切っておられる事でしょう。 先日、私の小児歯科の恩師の教授が定年退職されました。 昭和45年、私が大学5年の時からのつながりです。 私は昭和47年、大学を卒業し、約6年間大学病院で小児歯科の診療、教育、
研究に従事し、昭和52年11月に現在の小児歯科専門医院を開設しました。そ れからもう20年が過ぎました。その間、今日まで非常勤講師として大学との繋 がりがあります。
当診療所へ来られるお母様方の年齢くらいの期間小児歯科専門でやって来た かと思うと、改めてよくぞまあと感慨ひとしおです。
その教授の退職記念パーティーでのお話ですが、まだ日本に小児歯科と言う言 葉もなかった時代に、先人達は欧米に渡って、あちらでは既にかなりの歴史があ った小児歯科を学び、その学問と医療制度を参考に、日本に持ち帰り、応用して きたのでした。
日本の小児歯科は主にアメリカからの輸入だったのです。
しかし、今日では小児歯科も含めて歯科の分野において、日本は学問的にも世 界の最先端を行くようになっています。
学問的にも、経済的にも先進国の仲間入りをしているはずの国なのですが、ど うもそんな実感がないのではないでしょうか。
私も含めて、もうそろそろベテランを自覚しなければならない歯科医は、これ までの輸入の歯科医療から、日本の社会にマッチした、生きる喜びを実感できる 歯科医療を築き上げなければならないと思うのです。
少子、高齢化社会を迎え、世界にまねるべきモデルのない時代なのです。日本 から世界に向けて、新しい医療文化を発信できるようになりたいものです。