No.164 これからの歯科医療
日本の歯科医療費(平成6年)の12.8%が0~14歳の子供たちに使われました。 この割合は最近の少子化、虫歯の軽症化などとあいまって少しずつ減少してきて いる事は、以前にこの“くりあー”に書いたことがあります。
一方、65歳以上の高齢者に対しては11.9%が使われていました。昨年、平成10 年から年少者より老年者の人口の割合が増えたということが新聞,テレビなどで 報道されていましたから、現在は、両者だいたい同じくらいの額の費用を使って いることになると思います。
一般の医療費は年少者7.2%、高齢者39.6%が使われていて、高齢者の割合がど んどん増えて、日本の医療保険は危機に瀕していることはご存知の通りです。
それにしても、歯科は老人については随分安くついたことになります。 さて、この理由はなぜでしょうか?
老人が歯の手入れをよくしているから? いいえ、日本の老人はそれまでに歯
を失ってしまって、この歳になるとせいぜい,入れ歯を入れたりそれを修理したり するくらいになってしまっているからなのです。
歯科医療費の面で、働き盛りの方々(15~64歳)がその75%を使って治療を受 けておられるのですが、よくよく考えれば、たくさんのお金を使って、結果的に は歯を失っていた事になりはしないでしょうか。
歯の治療をしたら、その結果少なくともその歯をできるだけ永く維持し、また、 傷んでいない他の歯を健全な状態に保つ事に繋がるようにならなければやりき れません。
21世紀を目前にして、これまでのような傷んだ所をとにかく治すといった場当 り的な治療に終始するのではなく、治療をした歯を長期にわたって維持し、再発 を予防するために、治療を受ける側も、治療するわれわれ歯科医もそのための努 力を、お互いに力を合わせてしていかなければならないと思います。