2003年3月 No.170 むし歯をエンジンで削らずに治す治療法
先日、今話題になっている最新の虫歯治療についての講演を聴 きに行ってきました。
少し以前になりますが,NHKで、エンジンで削らずに虫歯を 治療する方法がヨーロッパで爆発的に広がっているということ で放映されたのでご存知の方もおられると思います。
その方法は簡単に説明すると、特殊な薬剤を虫歯の部分に 30 秒以上つけて軟らかくさせ、それを専用の器具で掻き取るのです。 その特殊な薬の溶液が開発されたのです。
私が歯科医師になった昭和 40 年代の終わり頃にも、一度虫歯 を溶かして取り除く治療法として話題になった治療法がありま したが、時間がかかり過ぎる、その薬にお金がかかるなどで結局、 あまり普及する前に廃れてしまったことがありました。
虫歯の治療での、エアータービン、エンジンの音、痛さはいつ の時代でも患者さんに嫌われてきました。何とかして、それを避 けて通れないものかと誰しも考えます。
さて今回の治療方法ですが、スエーデンで開発されたのです。 皆さんもご存知のようにキシリトールが開発されたり、フッ素が 普及したり、口腔衛生習慣が向上し、虫歯が非常に少なくなって いる国です。
できるだけ虫歯を作ることなく、また虫歯を作ってしまっても できるだけ削ることなく、痛くなく治したい。虫歯も少ないし、 それほど深くなる前ですからあまり時間がかかりません。
虫歯の人が少なくなり、ひどい虫歯が少なくなってくれば、小さな虫歯でも 少し時間がかかっても、痛くなく、削り過ぎないように治したいと思うように なるのです。
この新しい治療法が、近いうちに日本で認可され、できるよう になる筈です。
少しぐらい時間がかかってもという状況を作ることが先決か も知れません 。