2003年4月 No.171 気をつけたい母乳むし歯
先日、1 歳 9 ヶ月の男の子が、むし歯ができたということでご両親に連れられ て,新患として来院しました。
口の中を見ると、上下左右一番奥の乳臼歯がまだ生えていません。犬歯は少 し顔を見せたところです。
虫歯の状態はといいますと、上の前歯が既にかなりの大きさの虫歯になって いました。奥の歯も白くなっていてもう少しでエナメル質が崩れる状態です。 下の前歯は比較的健全な状態です。
このようなむし歯は今までにも何回か“くりあー”で書いてきましたからも うその原因が何かは,即座に答えられる方が多いと思います。
そうです,哺乳瓶の中に砂糖入りの飲み物を入れて飲ませていたか,1 歳半を 過ぎても未だ母乳を続けているか,のどちらかの場合がほとんどです。
さて,この子の場合は後者の未だ母乳を続けている例でした。
お母さんにそろそろ離乳しないと、とお話しましたが,どうしてもやめられな いということです。
確かに,最近では子供が欲しがれば離乳を少しぐらい遅らせてもいいのでは という考え方になっているようですが,それでは,やはり虫歯を作らない手立て を考えないと,結局は虫歯ができてその子がかわいそうと思うのですがどうで しょうか。
1 歳半児健診で小さな虫歯も含めて,1 本でもむし歯のある子供は 5%あるか ないかです。
そして,その中でひどいむし歯の子供のほとんどは哺乳瓶むし歯か,夜中にご そごそお母さんのオッパイを飲んでいるかなのです。
この子の場合は,その上、ご両親がフッ素についてはその副作用が心配で使用 したくないという考えです。それはそれでいいのですが,そうであれば,なおさ らフッ素に頼らない従来型の歯磨きと,甘味制限,就寝中の授乳の禁止などをも っと積極的にしないとだめだと思います。
私は最近では,特別に薦める訳ではありませんが,うがいができ、歯磨剤を使 うのであれば,フッ素入りで,甘味料としてはキシリトールを使用している物を 薦めています。