2003年6月 No.173 夜、寝ている間にむし歯ができる!は常識です!
先日、書店で本を見ていると、むし歯予防についての健康雑誌がありました。
興味深くページをめくっていたのですが、見てびっくり、私が普段患者の皆さ んにお話している事をほとんど、虫歯予防についての迷信として列挙しているで はありませんか。 記事の内容を面白くするために逆説的に書いているのならま あ、大目に見ても良いのでしょうが、マジそれを信じ、主張しているのです。
そのうちの一つが「夜寝ている間にむし歯ができる」のは迷信だというのです。
私が歯科医になってもう27年になります。毎日お子さんの口の中を見て来まし た。20数年前のむし歯の洪水の時期と言われたひどい時代を歯科医になりたての 頃に経験し、最近の子供のむし歯の情況がかなり改善されて来ているのもこの目 で見てきたのです。
特に、私は育児環境についていろいろ調査研究をしてきましたので、この事に ついては確信を持って「夜、寝る前に口の中をきれいにしておけば、ひどいむし 歯には決してならない」といえます。
糖分を口にした後、口の中のミュータンス菌などによってそれが分解され、酸 が作られるのです。その酸を弱めるのは唾液の作用なのです。
しかし、その唾液の分泌がほとんど止まって緩衝作用(酸の作用をやわらげる)、 再石灰化(酸によって溶け出したカルシウムなどを元に戻す)が期待できないの が夜寝ている間なのです。口の中が汚れたままで寝ることがむし歯の大きな危険 因子であることははっきりしています。
ライフスペースなどという集団が死んだ人を生きていると勝手な主張をする時代で す。何を言っても良いという風潮は困ったものです。
歯についての情報で疑問があれば何でもご相談下さい。