2004年8月 No.187 求められる心の通った人間関係
最近、泣きながら診療室へ入って来た子どもが一瞬泣きやんで、「あ!!パソコンや!家にもある!」といって、目を輝かせながらキーを触りたそうに興味を示すケースが何度もありました。
小さな子どもまでがパソコンに興味を持ち、小学生、中学生までがゲームだけでなくインターネットをする時代になってきました。
「IT革命」を政府が叫び、アメリカに負けないまでに普及しようとしているからでしょうか。
確かに「IT」によって私たちの生活は大きく変わって来ています。一般市民にとって一番大きいのはやはり、携帯電話の普及でしょう。
少し前までは、おもちゃの携帯電話をぶら下げて診療室へ入ってくる子どもがいたのですが、最近では診療途中に子どものポケットで呼び出し音が響くのです。またその時のボタン操作の手際よさは何ともいえません。
子どもたちの周りでも否が応でも毎日の生活の中に[IT]が入り込み、それがごく普通の状態になって来ているのでしょう。
「IT」がごく限られた人たちの物ではなく、私たちみんなの生活の中にとけこんで来た現在、もはや避けて通るわけにも行かず、こうなったら上手に使えるようにしたいものです。
しかし、この道具は今までの道具とは少々使い勝手が違うことを十分認識しておく必要があります。
インターネットに繋げれば自分の周りの限られた人だけではなく世界中の人とのコミュニケーションが可能になるのです。
しかし、それは通信機器を通してのコミュニケーションであって、本当の心と体をぶつけてのやり取りではない、さめた関係にしかならない欠点があります。
最近のロボットアニマルといい、血の通わない、本当の喜怒哀楽が消え失せる傾向はなんともやるせない気がします。
歯の治療が怖いと必死で泣いている子が本当にいじらしく感じられるこの頃です。