2004年11月 No.190 よりレベルの高いむし歯予防を
先日「泉大津よい歯を育てる会」に出務しました。
この日は2歳半児を対象とした健診、指導でした。
例により、元気な子ども達がたくさん来て、それはにぎやかでした。
一番始めの仕事は歯科検診です。泣きべそをかきながらお母さんに連れられた子どもを順番に診るのですが、むし歯の子はほとんどいません。
むし歯の他、歯の生え具合、噛み合わせ、歯肉の状態、口唇、舌などを調べるのです。指しゃぶりで前の歯が噛み合わない子などがチェックされ、指導し、かなり順番が進んだ頃、あるお母さんが、こんな小さな子どもでもむし歯ができるのですか?と質問されたのです。
ギクッ! むし歯が減って来たとはいえ、未だむし歯は子どもの病気のトップだと考えている、古い?タイプの小児歯科医にとっては非常にきつい、唐突な言葉ではありませんか。
10年くらい前までは2歳半児の3割ぐらいはむし歯の子がいたものです。
特に哺乳瓶むし歯といって上の前歯が特に多かったのです。
今回の健診ではそんな子は一人もいませんでした。
しかし、私の診療所には選りすぐりの子どもが来院されるのでしょうか、やはりひどいむし歯の子もポツリ、ポツリ来られるのです。
いくらむし歯が少なくなったからといっても、何も子どもの歯が強くなったわけでは無いのですから、少し気を緩めると簡単に元に戻るのです。
実際、2歳半児健診でむし歯菌の検査が異常なしということで、何のフォローもしない子どもの方が、要注意でフォローが必要ということで歯磨き指導やフッ素塗布、食事指導などをした子どもより、その後の口の中がむしろ悪かったという結果が出たりしているのです。
今でも小学校へ上がる時には7~8割の子どもがむし歯を作ってしまっているのです。
最近のように小さな子どものむし歯が減った時こそ、むし歯のない子は、それ以降もむし歯を作らないための、よりレベルの高い、むし歯予防を心がけて、一生続く本物にしたいものです。