2007年3月 No.218 金属アレルギーについて
先日金属アレルギーについての講習会に行ってきました。 最近の情報を整理しておくためにと思って出かけました。 大学の付属病院に金属アレルギー外来が設置されている所もあり、結構患者
さんがいるようです。 私の診療所にも以前に金属アレルギーの子どもの患者が紹介されて来ました。 歯科医院での金属アレルギーの治療といいますと原因になっている歯科金属
を見つけ出し、それを取り除き、別のアレルギーと関係のない材料に替えてあ げるということになります。
歯科の治療でいろいろな金属材料が使われています。小児歯科で最もよく使 うのは乳歯冠で、最近でこそ少なくなりましたが 10 年ぐらい前までは毎日何 本も装着したものです。
この乳歯冠の材質はコバルトクロムです。他社のものにはニッケルクロムも あります。ニッケル、コバルトなどは金属アレルギーを起こし易い材料です。 私の診療所では 20 何年も前から使っていませんが、歯科治療で最もよく使 われているものにアマルガムがあります。アマルガムは粉末状の銀と水銀を混 ぜ合わせて軟らかいうちにむし歯のあった歯の穴に詰めるのです。皆様もよく
ご存知だと思いますがこの水銀がよく問題を起こすのです。 かといってこのアマルガムは 2 千年以上の歴史がある非常にお世話になって いる歯科材料で、日本はもちろん、いまだにアメリカでも愛用されているので
す。 金属アレルギーに対しては、先ずは問題を起こし易いような材料はできるだ
け使わない事だと思います。 次にアレルギーの疑いのある人にはパッチテストをして調べる必要がありま
す。喘息患者にハウスダストなどを調べるのと同じように疑いのある材料につ いて検査します。皮膚科で簡単にしてくれます。
そして、最近売り出された器械ですが、口の中にある金属がイオンをどれだ け出しているのか、その強さを測る事が出来るようになりました。
こうして原因の金属を見つけ出し,アレルギーを起こしにくい、ポーセレン、 レジン、金属ではチタンなどと置き換えてあげるのです。
講習会でいろいろな金属アレルギーの症例のスライドを見ましたが、本当に ひどい全身の皮膚疾患から局所のものまで様々でした。
意外に思ったのは、食べ物の中に結構金属の含有量が多いものがあり、食べる 量によっては金属アレルギーを起こすものもあるようでした。