2007年9月 No.224 子どもに自信を持たせるために
毎日子どもたちを見ていて思うのですが、元気溌剌エネルギーに満ち、楽しい思いを 持って来られる子。暗い表情をし、黙りこくって弱々しい子。いったいどのような違 いがあって子どもにそのような差が出るのでしょうか。
子どもを育てるお母様方にとって一番知りたい事ではないでしょうか。
実際、歯科の診療においても、あれ程恐がって泣き、騒いだ子どもがある日を境に 突然お利口になるのを何度も目の当たりにして来ました。数は少ないですが、また、 その逆もあります。
最近読んだ本に、そのような差についての調査報告がありました。
結論は「充実感を持って暮らしている子と、そうでない子を分けるもの、それは“自 信力”であった。」というのです。「自信力」と著者が呼んでいるものは、どこまで 自分を肯定的・積極的にとらえることができるかである。自分に満足している子は、 目標を持って“張り”のある生活をする傾向があるというのです。
著者が思春期の子どもたちの聞き取り調査を分析した結果、親が子どもをどう自立 させるか、子どもの感情にどう近づくか、親の価値観を押し付けずに子どもの話に耳 を傾け、「あなたのこと、いつも見守っているよ」というメッセージを子どもに送り 続けることの重要性が理解できたというのです。
思春期の子どもが口を利かないことを「難しい」「何を考えているか分からない」 といって放置せず、子どもは、本当は親に胸の内を聞いてほしいと願っていることを 十分に知る必要があります。そのような気持ち、親の愛情に満たされている子どもの 自信力は、そうでない子たちより高い値を示しました。
自信力がある子は自分の力を信頼しており、自分に満足しているため、他人に批 評・批判されても、その人の話に耳を貸すことができます。それに対して自信力のな い子は、他人にちょっと何かを言われると、すぐに傷ついてしまったり、腹を立てて しまったりし、過剰反応する傾向があります。こうして自信力のあるなしに子どもた ちの日々の暮らしは大きく左右されるのだから、大人は子どもが自信力を育てること をサポートしてゆく必要があるというのです。
そして、今の日本の子どもは予想通り、この自信力において他の国と比べて低い結 果が出ているというのです。 ―院長―