2007年11月 No.226 むし歯と育児環境 -むし歯と児童虐待の関連-
私は、子どもがむし歯もなく元気に育っているご家庭は、育児ががうまく行っ ている証拠だとこの“くりあー“を通じて何度も書いてきました。
ところで、最近児童虐待のニュースがよく聞かれます。つい最近まで歯科とあ まり関係のない話として他人事のように考えていたのですが、昨年東京都歯科医 師会がむし歯と児童虐待の関連についての調査結果を報告しました。
調査対象は児童相談所の一時保護所に保護している中学生未満の被虐待児童 と都内の乳児院に一時保護委託および措置している概ね1歳以上の被虐待児童 170名についてでした。
その結果のポイントは 16歳未満児の乳歯については (下図左)のように むし歯所有率は48%で一般の児童の2倍以上、一人平均むし歯数は約3本で一般 の3倍以上で 2治療の未処置歯数は(下図中)6倍以上で特に、2歳児は7倍以上 という結果でした。
312歳児の永久歯治療率(図右)は24%で一般の約3割で永久歯むし歯の治療 がなされていなかったのです。
このような事から、歯科健診等の際、口腔内状況の様子から虐待の発見につ なげることが可能となるのです。 育児環境が極端に悪い場合は当然口の中の 状況も悪くなるのは当然のことです。 改めてむし歯は育児環境の具体的な表現であることを確信したしだいです。
-院長-