2011年4月 No.307 揺さぶり過ぎないで!!
先日お子さんの治療が終わったので説明を親御様にするために診療室にお呼びしました。その日はお父様が付き添いで来られていましたが、下の赤ちゃんも同伴だったのです。お話が終った時赤ちゃんを高い高いしてあやしていました。赤ちゃんもご機嫌で和やかでいいのですが、横で見ているとなんだか冷や冷やものです。
皆様は「揺さぶられっこ症候群」という言葉を聞かれた事があると思いますが、乳幼児を揺することによって、頭頸部が強く動揺し、その結果、頭蓋内出血や眼底出血が引き起こされるものです。その予後は悪く、死亡や脳性麻痺、精神運動発達遅滞、視力障害などを引き起こします。ゆさぶられっこ症候群は、虐待との関連を強く示唆された症候群ですが、普段の子育ての中にも、ゆさぶられっこ症候群の原因になる(高い高いなど)ものもあり、育児に関係する方は正しく認識する必要がある疾病です。
赤ちゃんが健やかに育つためには、周囲の大人の十分な配慮が必要なことは言うまでもありません。ゆさぶられっこ症候群は、虐待との関連も示唆されますが、不注意な子供のあやし方や、行動観察の甘さが原因としても起こってしまいます。ゆさぶられっこ症候群を起こさないためには
①赤ちゃんを揺さぶらない。
②子供が喜ぶからと言って高い高いをしない。
③つたい歩きをするようになったら、転んで頭部を打たないように近くで注意深く観察する。
④赤ちゃんが泣いてイライラしたら、一旦その場を離れて、落ち着いてから赤ちゃんに接する。
など、育児をする者が、赤ちゃんに十分な配慮をする必要があります。赤ちゃんの健やかな成長は、周囲の大人の配慮によって守られるものです。
ー院長-