2011年5月 No.308 子どもの歯軋り
歯の治療に来られるお子さんが、寝ている時に「キリキリ」「ガリガリ」上下の歯を擦り合わせる歯軋りが激しく、放置しておいていいものか気になるといわれる親御さんが結構おられます。
確かに大きな音を立てているのを聞くと、お子様の歯が、口がどうなっているのか、壊れてしまうのではないかと心配になるのも当然です。
多少の歯の摺り合う音がするのはほとんどの子どもで見られるものです。歯でいろんな物を咀嚼し、噛み合わせる事は顎を動かせる筋肉(咀嚼筋)の生理的な活動であり、その刺激によって歯の周りの歯槽骨が成長するのです。噛み合わせが多少ずれていたりして歯軋りを起こすのです。
しかし異常なほどの歯軋りは無視することは出来ません。大人の場合は噛み合わせの異常、特に早期接触などによって歯軋りが引き起こされ、歯が磨り減ったり、欠けたり、歯周組織が破壊され、歯周病がひどくなる大きな原因となります。
その点、子どもの場合は乳歯が軟らかいため歯が磨り減りやすく、歯周組織にダメージを与えることは殆どありません。
ところで、子どもの歯軋りの原因はストレスだと言われています。歯軋りはむしろ病気ではなく、ストレスを発散するための機能だと言う先生も居られます。
それにしても歯軋りでストレスを発散するのではなく、日常生活の中のストレスの原因を良く調べ、できるだけ緩和させてあげる必要があります。
それにしても、それぞれの子どもが何をストレスと感じるかはその子どもの感受性によって違うのですから厄介です。また、大人の感覚ではなかなか計り知れないものがあるだけに余計に難しいのです。
- 院長-