2011年9月 No.312 今年の歯科健診を終えて
毎年5月、6月は新学年を迎えての年に一度の健康診査の季節です。
保育所、幼稚園、小・中学校へ通っておられる子どもは皆一斉に受けられた事と思います。
私も衛生士とほとんど毎週健診に出かけました。この健診は私にとっては現在の子どもたちの口の中の状態を知る上で非常に興味のあるものでもあります。
今年の健診を終えて感じたことは、全体的に子どもたちの口の中はおおむね歯磨きがなされ、むし歯予防が浸透してきて、まずまず良好の状態になっていることです。ひと昔前のむし歯のひどかった時期に比べれば雲泥の差です。
それでも、少数ですが以前のひどい状態を思い起こさせられる、懐かしいむし歯のひどい子どもが希少症例のごとく混じっているのです。
子どものむし歯はほんの短い間でも、それこそ一ヶ月もすれば見事にできるのです。下に赤ちゃんができるので実家のお爺ちゃん、お婆ちゃんに預けた、病気で入院していたなどなどむし歯の可能性がグンと上がるのです。
むし歯が減ったのとは対照的に目立つのが歯肉炎です。歯肉が軽く炎症を起こしている子が非常に多いのです。以前はむし歯に隠れてあまり気にしていなかった事もあるのかもしれません。それにしても憂慮される問題です。現代食は軟らかく、努力して噛む必要がないので、どうしても歯肉に対する刺激不足なのです。
その分、歯磨きの折に歯肉も磨くようにして欲しいものです。
同時に気になるのが舌の真ん中の辺りが白く舌苔が目立つ子どもです。歯や歯肉を磨く時、毎回軽く舌も撫でるように磨くのをお勧めします。舌苔のある子が口呼吸すると嫌な口臭がする筈です。
また、ある園ではむし歯は殆どないのに、指しゃぶりで上の前歯がかみ合わずに開いている開口状態の子どもが1/3以上もいました。子どもが指しゃぶりすることに目くじらを立てる必要はないのですが、3歳くらいまでに止めさせないと将来上顎前突の可能性が高くなり、矯正が必要になるかもしれません。
せっかく子どもたちの口の中が健全になって来ているのですから、この状態を維持し、もっと良くするため、家庭での口腔健康習慣の確立のため努力したいと思います。
-院長-