2011年11月 No.314 アメリカの小児歯科専門医を訪ねて
日本の小児歯科はアメリカの小児歯科をお手本に発達してきたといっても過言ではありません。
日本の初期の頃の小児歯科は私よりも一代前の先生の時代にアメリカへ留学してそのノウハウを学んだのでした。今から60年程以前の事です。日本では乳歯はどうせ生え替るのでそれ程重要視する必要がないと考えられていた時代の事です。
その頃、アメリカでは健全な永久歯列の発育にはその前の乳歯列が健全でなければならないとの考えの下、子どもの頃からの口腔のケアが重要視されて来ました。
3~40年くらい前からアメリカではその甲斐があってか、子どものむし歯は減少しました。日本は東京オリンピック、大阪万博などもあり経済成長真っ盛りでむし歯はどんどん増えて行ったのです。その頃日本でむし歯が本当に減るとは考えられなかったのですが、ここ10年日本も急激にむし歯が減っています。まさにアメリカに遅れる事約30年で後追いしているようです。実際、日本で問題になっている児童虐待も3~40年前にアメリカで大問題になっていたのです。
さて、現在の状況はどうでしょうか?アメリカでは泣く子の治療は児童虐待という事で原則しない、という事は全身麻酔下でするのです。治療結果が不安定な歯の根管治療はしないで抜歯だという事です。医療訴訟で揉めるのを避けるためらしいです。私は出来るだけ歯を抜く事のないよう苦心して治療に当たっています。
その甲斐あって永久歯との生え替り以外、むし歯で歯を抜く事は殆どありません。しかし、確実にアメリカの後追いをして行くようで、いろいろ考えさせられた訪問でした。
-院長-